リレーションシップ・マーケティングの進展 -顧客視点を中心として-

2.1 マーケティングの進展

●「マーケティング」は、19世紀末から20世紀初頭にかけて、アメリカにおいて発生した。

●アメリカ経済が大量生産能力を備え、消費財不足現象を解決すると同時に、過剰生産の問題が発生し、自給自足経済体制が崩れた。

●初期のマーケティングは、新しい販売技術としての役割が強く意識されていた。

2.1.2 管理的マーケティングの導入・開花(1950年代~1960年代)

●Webster(1992)によるマーケティングの分類

 ~1950年代

  1:産地から加工業者や消費者に移動される商品そのものについての研究

  2:マーケティング機構、特に販売機能を遂行する商業者についての研究

 1950年代~

  3:それらの機能によって行われるマーケティング機能についての研究

●管理的マーケティングとは、4Pに代表される顧客満足の最大を目的とする顧客志向を主たるコンセプトとするマーケティング思想であり、50年以上にわたり学会や実務界で支配的なマーケティング思想として受け入れられている。

2.2 リレーションシップ・マーケティングの登場背景

2.2.1 既存マーケティン概念の限界

(1) 交換パラダイムの限界

●伝統的にマーケティング論における中核概念は「交換」である。

●交換パラダイムは、単発的取引を前提条件としているため、継続的な取引の存在を考慮できていない。

●取引関係の中で生まれる短期的・長期的リレーションシップは無視できないため、考慮にいれるべきである。

(2) 2.2.2 4P’s枠組の限界

●4P’sの考え方は買手の視点ではなく、売手の視点である。

●4P’sの代わりに4Cが提案されている(Lautenborn(1990))

①顧客にとっての価値(customer value)

②顧客の負担(cost to the customer)

③入手の容易性(convenience)

④コミュニケーション(communication)

●マーケティングの視点を企業本位のものから顧客本位のものへと転換させることを求めており、顧客との相互作用を重視したものといえる。

(3) 分析手法論の限界

●管理的マーケティングが「利潤ではなく、顧客満足を最大の目的とする」という顧客志向のコンセプトであるにもかかわらず、分析手法の殆どはミクロ経済パラダイムに基づいている。

●ミクロ経済分析法のみで、一般取引のパラダイムの全てを説明しうるかについて疑問を投げかける声は少なくない。嶋口(2005)において、「管理的マーケティングにおける顧客満足しそうは、あくまでもマーケティング活動を行う際にそのもとになる理念や哲学として受け入れられており、現実的には、活動経過としては、市場シェアや利潤が相変わらず重視されてきた」と述べられている。

2.2.2 サービス品質の重要度増加

●市場シェア向上を志向する管理マーケティングにおけるアプローチの限界が認識され、市場シェアから、顧客生涯価値(LTV)の向上、いわば顧客シェアへと関心が移りはじめた。

●製品概念の拡張によるサービス品質比重の増加は、自然に顧客とのリレーションシップ構築の重要度を増加させてきた。

2.2.3 情報技術の進展

●情報技術の進展が、企業内部での組織間、企業間、また企業と顧客との間での、更なる相互依存、また協力の可能性を一層高め、それを現実化していく領域を広げてきた。

2.2.4 グローバル経営の拡大

●企業は、グローバル市場での競争を有利に展開するため、その組織形態を柔軟にして、さらに減量化する必要があった。

●グローバルな競争の激化により、企業には減量化のための再編成や再構築が求められ、その組織を再編成あるいは再構築する際、組織間の相互依存性、協働、リレーションシップ、パートナーシップなどが重要視されるようになった。

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